ヒメジャコ陸上養殖で特許/漢那一弘さん
小石の上での成長発見
宮古島シャコ貝養殖センター(平良荷川取)の漢那一弘さんがこのほど、「ヒメジャコの陸上効率養殖方法」で特許を取得した。シャコガイは海中の岩盤に穴を掘り、その中で成長するが、漢那さんが発明したのは水槽内に小石などを敷き詰め、その上にシャコガイの稚貝を置き成長を待つもの。貝を傷付けることなく手軽に収穫できる。漢那さんは「簡単で便利なシャコガイの養殖方法が確立された。沖縄の新たな特産品として県内外に販売していく」と意欲を見せている。
漢那さんの「養殖方法」は9月9日に特許庁から登録された。また、県発明くふう展の「特許・実用新案の部」で優秀賞を受賞した。
漢那さんは25日、下地敏彦市長に報告。市役所平良庁舎で記者会見し、特許に至った経緯や今後の取り組みなどを報告した。
これまでの養殖方法は、シャコガイの生息基盤である岩盤や人工岩に穴を開け、稚貝を埋め込み成長させて収穫していた。
漢那さんも、従来通りの養殖方法で行っていたが、ある日、たまたま大量の稚貝を入手。従来までの方法では手間暇が掛かると思い、水槽に小石を敷き詰め、その上に稚貝を置いた。
しばらくすると、稚貝が順調に成長していることを発見。観察を続けた結果、シャコガイが穴を掘るのは、外敵から身を守るための防衛行動だと考えた漢那さんは、水槽内から外敵生物を除去すれば、小石の上でも成長することを突き止めた。
「水槽内で養殖すれば、禁漁期間や海が荒れた日に関係なく、年中収穫できる。また、密着している岩盤から刃物などで取り出すのではなく、そのまま素手で取ることができる。貝を傷付けることもなく、商品の付加価値を高めることができる」と説明した。
すでに、県内で海産物を取り扱っている店から注文の話があるという。
来年から出荷を予定しており、まずは8000個の出荷を目指す。
下地市長は「発見したのは偶然だが、観察力があったからこそ。素晴らしいニュースだ」と喜んだ。