家畜検疫 平良港を指定/県が市に報告
来月から水際対策強化/外国船急増で迅速対応
宮古島市の平良港が、家畜伝染病予防法に基づく検疫強化港に指定される。来月1日付。クルーズ船を含む外国船が接岸(沖泊を含む)する際、家畜防疫官が汚染物品の有無を調べてウイルスの侵入を水際でたたく。3月の国への要請から約7カ月での指定港化。急増するクルーズ船の平良港接岸などを背景に、国が異例の迅速対応で応えた。
市に入港するクルーズ船は急増している。今年の入港は計85回と前年度の14回から大幅に増えた。
海外旅行者の増加で懸念されるのが口蹄疫など海外悪性伝染病の侵入だ。このため、家畜防疫官の船内検査など港での水際対策が求められていたが、県内で指定されている港は那覇港と石垣港のみ。家畜伝染病予防法上、平良港では十分な検疫ができなかった。
このような現状を踏まえて市が今年1月に県に要請行動を展開した。県も指定港化の必要性を重視し、3月に国への要請、9月には再要請を行っている。
この結果、国が今月24日の官報に告示し、11月1日の施行が決まった。関係者は、指定まで最短でも1年はかかるとみていたが3月の国要請から約7カ月で指定が決定。クルーズ船の急増を受け、国も指定港化を急いだものとみられる。
指定に伴い、クルーズ船を含む外国船入港時には動物検疫所沖縄支所の職員が宮古入りし、船内で手荷物検査を実施しながら物品が汚染されていないかどうか確認することができる。
観光需要の高まりは、人と物の移動が盛んになることから伝染病の侵入リスクと連動する。平良港の指定は、肉用牛の素牛を生産する宮古島市にとって大きなリスク回避策となる。
平良港の指定は、県農林水産部の島尻勝広部長が28日午後、市役所平良庁舎に下地敏彦市長を訪ねて報告した。「宮古島市にこのような報告ができることをうれしく思う。関係機関の要請の成果だ」と話した。その上で「引き続き宮古島市と連携して畜産振興に取り組みたい」と述べた。
下地市長は「こんなにも早く指定されたことに驚いている。県には迅速な対応をいただいた」と関係者の要請行動に感謝した。その上で「家畜伝染病が発生したら宮古の畜産は大変なことになると大変懸念していたが、11月からはしっかり防疫ができる。市も手伝いながら防疫体制を一層強化していきたい」と話した。