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行雲流水
2016年11月22日(火)9:01

【行雲流水】(「トランプ」症候群)

 「ポピュリズム」ということばがある。一般大衆の利益や権利、願望、不安や恐れを利用して、既存の体制と対決する政治思想や政治姿勢のことである。ヒトラーがそうであったように、単純明快な主張を掲げ、民衆を熱狂させ、閉塞状況を打開する「強いリーダー」を期待させる手法である

▼劇場型選挙にもその要素があるように、民主主義には常にポピュリズムに走る傾向が潜んでいる。有権者の冷静な判断力が求められるゆえんである

▼大方の予想に反して次期アメリカ大統領にトランプ氏が決まったが、彼はアメリカの抱える格差の拡大や差別への不満を取りあげ、「アメリカを再び偉大な国にする」と簡単明瞭な言葉で主張した。民主党候補指名選挙で若者の心をつかんで善戦したサンダースは「トランプが利用したのは、働けど働けど賃金は下がるばかりという単純な事実だ」と述べている

▼トランプの一連の過激な発言は「選挙戦術」だったという見方もあり、実際にどう展開されるかは、不透明である

▼ただ、「もう世界の警察であることは止めた」と言っていることが注目される。これまでの米国の「警察」が正義の警察だったとはとても言えない

▼沖縄の米軍基地はアメリカの世界戦略のためにある。誤ったベトナム戦争では、「沖縄の基地がなければ戦争は遂行できなかった」と米高官は述べている。アメリカの世界戦略が変わり、沖縄の米軍基地の役割が低下、沖縄県民の意思に沿って、新基地建設が中止されることを期待し、求めたい。

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