認知症高齢者を見守り/市と宮古島署
全国に先駆け協定締結
宮古島市(下地敏彦市長)と宮古島署(大城辰男署長)が7日、「認知症高齢者等の見守り及び安全支援に関する協定」を締結した。高齢化社会が進展する中、認知症高齢者の行方不明事案が全国的な社会問題となっている。また、認知症高齢者による万引き事案についても「福祉的措置が必要」との意見を踏まえ、この日の協定締結となった。市、警察署が連絡制度で協定を結ぶのは全国に先駆けての取り組み。
協定は▽認知症が原因で、行方不明となる恐れがある高齢者らを県警察の「行方不明者情報管理システム」事前登録する(事前登録制度)▽県警察が万引きで取り扱った認知症高齢者らについて、市町村に連絡することで、その高齢者を福祉面でサポートし、本人や家族の安全、安心な生活を支援する(市町村連絡制度)-ことなどを目的としている。事前登録制度は本人または家族の同意、市町村連絡制度は本人の同意のもとで行われる。
これらの登録により、行方不明となった認知症高齢者の手配がより迅速に行われる。また、市町村連絡制度に登録することで、認知症による万引き事案が発生した際に、その認知症高齢者に福祉などの必要な支援を検討することで、本人や家族の安全な暮らしが確保されるとしている。
宮古島市の11月末現在の人口は5万4325人で、65歳以上の高齢者は1万3275人と約24・4%を占めている。この高齢者のうち、75歳以上は7368人で、高齢者の約55%に当たる。市で介護認定を受けている人は約3000人で、このうち約1750人が、何らかの認知症を発症しているとみられている。
事前登録や市町村連絡制度への登録に関しては、市の包括支援センターまたは宮古島署で相談することができる。
締結式で下地市長は「認知症の高齢者が徘徊(はいかい)してる場合に、その行動を把握するのは困難。この協定で、市と宮古島署が連携して、対応にできることは有意義と思う」と話した。
大城署長は「認知症による行方不明の届出が家族からある。家族にとっては発生するたびに手続きをするのは負担になる。事前登録により負担の軽減にもなり、手配も迅速にできる。高齢化社会の中で、連携して地域での見守りができることで、家族も安心できる」と述べた。
県内で今年10月末現在、認知症高齢者行方不明が54人でこのうち4人は死後発見されている(暫定値)。
締結式には、市から豊見山京子福祉部長、高齢者支援課の嵩里公敏課長と宮古島署生活安全課の池原健治課長が同席した。