捕獲犬、年間364匹/過去10年間で最多
飼い主の意識の低さ浮き彫り/昨年、宮古保健所管内
宮古島市で昨年1年間で収容された犬は383匹で、うち捕獲・保護された犬は364匹、殺処分されたのは8割以上に上る325匹となり、いずれも過去10年間で最も多いことが宮古保健所のまとめで分かった。犬や猫に関する苦情なども増加傾向で、野犬取り締まりや、放し飼い犬の問い合わせが半数近くを占めている。改めて飼い主の意識の低さが浮き彫りになった。
数字は、21日に宮古保健所で行われた同所運営協議会の中で示されたもので、県内では捕獲・保護、殺処分ともに減少傾向にあるものの、宮古島市では、逆に増加傾向であることが報告された。
犬に咬まれてけがをする「咬傷事故」件数は昨年は10件で、過去5年間では最も少なくなったものの、件数は病院からの報告であることから同所では「氷山の一角」と見ている。
家畜や農作物への被害も、毎年20件近くあるという。
報告を受け、医療関係団体の出席者からは「捕獲や殺処分するための移送費など年間予算をまとめ、無駄な費用を使っていると、広く訴えてみたらどうか」といった意見や、米国では犬にチップを埋め込んで飼い主が分かるようにしていることも挙げ「法律的な縛りが弱い。厳しい措置を取らなければ改善はない」などの提言があった。
市によると、宮古島市飼い犬取締条例では、犬が人畜被害を与えた場合などには飼い主に2万円以下の罰金などが定められている。出席者は「条例が制定されておれば、それをしっかりと生かしていくべきではないか」と話した。
今後、認知症による徘徊が増えることもあり、「お年寄りが放し飼い犬や野犬などの被害に遭う可能性がある」として、その対策についての準備を求める声も上がった。
市からは「飼い主の意識の問題だが、昔から引き継いできた犬に対する意識を変えるような改革が必要」、保健所からは「大型犬がどのくらいいて、子どもや弱い人を守るにはどうするかも健康危機管理に関わること」とそれぞれ述べた。
この日の運営協議会では、健康危機管理の定義と役割などが説明され、宮古保健所の管理対策が紹介された。保健所は①地域の健康危機管理の拠点と位置付けられている②健康危機の規模の大小に関わらず対策を行っている③発生した健康危機だけでなく、発生の恐れのある健康危機にも対応している-などと説明した。
冒頭あいさつした同所の上原真理子所長は「本協議会は、保健所に理解を深めてもらうとともに保健所運営に地域の意見を反映させることが目的。皆様の率直な意見をお願いする」と述べた。