市、4900万円返還へ/不適正支出問題
独自の判断で補助金流用
会計検査院の決算検査報告で、2003~08年度の国庫補助事業事務費の不適正支出を指摘された宮古島市の下地敏彦市長は10日午前、市役所平良庁舎で会見を開き、不適正金額4947万円(うち国庫補助金相当額3373万円)を請求に応じて全額返還する方針を示した。市は検査対象期間に独自の判断で補助金を流用し、別の事業で支出してきたことを認めた。下地市長は「今後は法令を順守して補助金を支出していきたい」と述べた。
会計検査院から指摘された不適正金額は農林水産関係補助事業の事務費に当たる。不適正金額の内訳は▽需用費2442万円▽賃金2142万円▽旅費362万円-。
会計検査院は事務費に該当する需用費、賃金、旅費を本来の使途とは違う目的で支出したことを「不適正」と指摘した。いずれも市の判断でやりくりしたことが「不適正」「補助対象外」とされた。
具体的にはAの事業でしか支出できない需用費(消耗品、燃料費など)をBの事業で使用したほか、Cの事業でしか認められていない臨時職員の賃金を別の部署で働く臨時職員に支出したりした。旅費でも同様のやりくりを行っていた。市は不適正経理の発生原因として▽年度末予算執行を目的とした駆け込み的発注▽業者とのなれ合いがあり不適切な発注および納品であるという認識が薄かった▽脆弱な財政-などを挙げた。
会計検査院の検査期間は合併前の年度を含むため、旧市町村時代の経理も不適正と指摘された形だ。下地市長は「財政が脆弱な自治体は財源を有効に使いたい」と話し、不適正経理は各自治体が財源確保を優先した結果であることを挙げた。
一方で「国庫補助とは関係のない部署で賃金などを使い、この部分が不適切であると指摘を受けた。今後は改めていく」と述べ、補助金の適正執行を徹底する姿勢を示した。