分室、福祉事務所に設置/中央児相
4月開設「見守り」強化へ/虐待事件受け機運高まる
県が中央児童相談所宮古分室の開設に向けて準備を進めている。開設日は4月1日を予定し、宮古福祉事務所内に設置することを決めた。配置人員数は現段階で未定。市の虐待件数は増加傾向にあり、分室設置の意義は大きい。虐待を防ぐきめ細かな見守り体制の構築が期待される。
宮古分室設置の機運は2015年7月の女児虐待死事件を受けて高まった。事件と行政の対応を検証した第3者委員会は「最悪の結果を招いた」と指摘。関係機関の情報共有や連携、分室の設置を促していた。
この流れを受けて分室の設置が決まった。児相は虐待に遭っている児童を一時的に強制保護する権限を有するため、事案が深刻化する前に手が打てる。このため、県に対する要請は数年前から行われてきた。
宮古分室の業務は福祉事務所に設置する執務室で行われる。県青少年子ども家庭課によると、配置人員数は「調整の段階で確定していない」という。「(児童家庭支援センター)はりみずが補完的な役割を担っているので連携を取って体制を強化したい」とした。
虐待は全国的に増加傾向にある。救済機関の周知に伴う事案の掘り起こしを考慮しても伸び率は高い。
市児童家庭課のまとめで15年度に宮古島市で確認された虐待件数は36件。このうち親の保護の怠慢・拒否といったネグレクトが最も多く15件あった。身体的虐待は11件、暴言や差別などを対象とする心理的な虐待も8件あった。
総計を石垣市と比較すると14年度、15年度ともに18件多かった。県は07年に中央児童相談所八重山分室を開設しており、現在は分室長を含めて計6人で対応に当たっている。
発生件数で考えると、宮古分室にも同程度の人員が求められるが、県ははりみずとの連携を踏まえて人員数を決める方針だ。
虐待は社会問題化しており、救済する行政的措置が大きな比重を占める。関係機関との連携強化、情報共有はもとより、適正な人員配置が求められている。