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行雲流水
2017年2月4日(土)9:01

【行雲流水】(光陰矢の如し)

 「少年易老学難成、一寸光陰不可軽」少年老い易く学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず。少年は瞬く間に年老いて学問ははかどらない。わずかな時間でもおろそかにするな。中国12世紀、南宋の思想家で朱子学を築いた朱熹(朱子)の詩といわれる

▼この詩の持つ時間の捉え方に共感できるようになった。続く二節が心に響く「未覚池塘春草夢、階前梧葉巳秋声」未だ覚めぬ池塘春草(ちとうしゅんそう)の夢、階前の梧葉(ごよう)すでに秋声。池端の春草はまだ夢から覚めない、庭先の梧桐はもう色づいているのに

▼中華思想の一画を築いた哲学者の諫めを今更わが身に置き換えるのも忸怩たるものだ。だらだら過ごした来し方を悔いても仕方がない。過ぎた時間が取り戻せることでもないのだからこれからの過ごし方を模索するだけだ

▼とはいえ年を重ねるごとに速くなる時間を遅くできないものかと思うこの頃だが、じつは時間の流れを遅くするヒントは朱子の詩の中にあったことに気づかされた。少年に戻ればいい。それも夢の中ではなく現代の脳科学に基づいた論理的な根拠に沿ってのものだ

▼『ライフハッカー(日本版)』にそれが紹介されている。ニューロサイエンスの分野で「輝かしい功績を持つ」デイヴィッド・イーグルマン氏の提唱するのがそれだ

▼「自分の力で時の流れを遅くする」5つの提案①学び続ける②新しい場所を訪ねる③新しい人に会う④新しいことを始める⑤自発的になる。これら5つの事柄は「脳が理解するのに時間を要するような刺激」だということで実際に行動することで「豊かで長い時間を過ごせるはず」だという。「少年難老」だ。

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