異議申出を「棄却」/市長選「通称」問題
「手続き上も問題なし」
先月行われた市長選挙で当選した下地敏彦市長が選挙期間中に活用した「通称」がフルネーム(氏名)ではなく「としひこ」のみとなり、それを市選挙管理員会(下地淳徳委員長)が認めていた問題で、同委員会は21日、3人の市民から提出された選挙と当選の無効を求める異議申出書について審議し「棄却」の判断を下した。フルネーム以外の「通称」申請においても、それが広く通用していることを証明する資料は「必要はない」との見解を示した。
この問題は、選挙において候補者が「通称」を用いる場合において、それが広く本人氏名に代わるものとして通用していることを証明する資料の提出が求められている。
その際に、申請した「通称」が漢字やひらがな、カタカナを併用したフルネーム(氏名)での申請の場合は、資料の提出は求めていないという。
しかし、今回の下地市長の場合はフルネームではなく「としひこ」のみの申請となったことから、疑問の声が上がり、必要な資料の提出も無かったことから3人の市民から選挙と当選の無効を求める異議申出書が市選管に提出されていた。
この呼称表記について、県選挙管理委員会に問い合わせたところ「候補者の呼称については、漢字とカタカナやひらがななどを用いてフルネームで記載する際にはそうした資料は求めていないが、そうでない場合は資料の提出を求めている」との見解を示している。
資料の提出を求めなかった理由について、市選管の下地委員長は「先月の市長選で『としひこ』は1人だったので資料の提出は必要ないと判断し、選挙の事務手続き上も問題なかった」と述べた。
また、市選管の宮國恵良事務局長は、公職選挙法の逐条解説条を示して「氏名を漢字に変えて仮名書きする場合においても通称認定の手続きを要するが、この場合は事柄の性質上、特にその通用度の説明なり資料の提出を要するまでもない」としているとし、それを「棄却」理由とした。
しかし、マスコミが「この逐条解説では『氏名』(フルネーム)とある。『としひこ』は『名』だけ。『氏名』以外の場合も、それが広く浸透しているかの確認する資料の提出も必要ないということか」の質問には、今回市長選において「としひこ」は特定されているとの理由で、それが浸透しているかの確認は「必要ない」との見解を繰り返した。
今回の判断について異議申出書を提出した医師の岸本邦弘氏は「まだ手元に市選管の見解は届いていないが、棄却となれば県選管に異議申出書を提出する流れになる」と述べた。