「ふるさと文化財の森」に設定/文化庁
「イヌマキ林」県内初/上野野原
【那覇支社】県教育庁文化財課は7日、文化庁の「ふるさと文化財の森」に宮古島市上野字野原の「イヌマキ林」(上野資源リサイクルセンターの南側)が設定されたと発表した。この文化財の森の設定は県内では初で、今後、県内の文化財の修復素材として野原鏡原のイヌマキが使用されることになる。
「ふるさと文化財の森」設定は、国宝や重要文化財などの文化財建造物を修理し、後世に伝えていくためには、木材や檜皮、茅、漆などの資材の確保と、これに関する技能者を育成することが必要。このため、文化庁では、文化財建造物の修理に必要な資材のモデル供給林及び研修林となるのを目的に設定している。
今回、設定された「イヌマキ林」の住所は上野字野原鏡原1190の113、「上野資源リサイクルセンター」の南側に広がる約1㌶のイヌマキ林。宮古島市が30年前に苗木を植えた人工林。高さが8㍍、1本の幹の回りが10㌢~303㌢あるイヌマキが約3200本植えられている。
イヌマキは、湿気に強く、耐蟻性や耐久性に優れた材質で沖縄、奄美地方においては一級の建築材。現在、イヌマキは戦前、戦後の乱伐及び林業の衰退により極めて希少な木材となっている。
県内で初めて宮古島のイヌマキが「ふるさと文化財の森」に設定されたことについて市教委文化財係の久貝春陽さんは「県内文化財の修復素材の供給地として設定されたことは、今後の文化財保存にも大きく寄与することが期待できる」と語った。
今回は全国で3カ所の設定があり、宮古島以外では宮城県塩竃市の檜皮、兵庫県丹波市の檜皮となっている。これで全国の「ふるさと文化財の森」は合計71カ所となった。
認定交付式が、今月14日文化庁長官室で行われる。