県、2社と合意書締結/下地島空港利活用
三菱地所とFSO/国際線旅客ターミナルなど整備
【那覇支社】県は8日、下地島空港と周辺用地の利活用について、「国際線等旅客施設整備・運営及びプライベート機受入事業」を展開する三菱地所(東京)と、「下地島空港を活用した革新的航空パイロット養成事業」を推進するFSO(エフエスオー、北谷町)の2社と、事業実施に向けた基本合意書を交わした。
県庁で締結式が開催され、翁長雄志知事と三菱地所の杉山博孝執行役社長、FSOの玉那覇尚也代表取締役が基本合意書に署名した。
翁長知事は「県政の長年の課題であった下地島空港の新たな利活用のスタートに立つことができ、大変喜ばしい。いずれも成長著しいアジア経済のダイナミズムを取り込むインパクトのある事業で、宮古圏域のみならず県全域への波及効果が期待できる」と述べた。
杉山社長は「下地島は世界に冠たるきれいな海を持つエリア。アジアに近いここをベースに、沖縄全体の観光振興にも寄与していきたい」、玉那覇社長は「素晴らしい環境の下で、飛行安全の最終責任者であるパイロットの育成のため、気を引き締めて事業を推進していきたい」と話した。
三菱地所は「リゾート地として高いポテンシャルを有する下地島に所在する下地島空港は、高度な基本施設を有しており処理容量も大きい」と評価。事業の概要は▽旅客ターミナル施設の整備▽プライベートジェットを代表するジェネラルアビエーションの受け入れ体制構築を行い、国際線定期便やLCC(格安航空会社)、新規参入会社などの国内線定期便、チャーター便、プライベート機など、多様な航空機を受け入れる。想定スケジュールは17年6月~18年9月の間、新築工事や開業準備に入り、18年10月に開業予定。年間航空旅客数の目標は18年5万5000人、21年30万人、25年57万人に設定した。
同社では宮古圏域の第1空港として宮古空港がこれまでの役割を継続・発展し、第2空港となる下地島空港は新たなニーズの創出・受け入れで役割を分担して、共存共栄による同圏域の観光振興への貢献を目指す。
FSOは「下地島空港は本来持つパイロット訓練空港として最大の価値があり、台湾をはじめアジアのパイロット訓練を受け入れる地理的特性が有利」と分析。事業概要は▽国内外で活躍できるパイロット人材を育成▽国土交通省航空局と米国連邦航空局の資格の教育訓練を提供▽英語での訓練を強化し、国内外からの訓練生の受け入れ▽効率的な訓練が特徴のシミュレーター訓練を実施▽米国内の操縦士訓練指定養成施設との協力体制による短期間の訓練の実施-となっている。
事業スケジュールは17年4月から開業準備に入り、18年4月に開業予定。17年度の操縦士免許取得者数は73人を目標とする。
県では、2014年度に下地島空港と周辺用地も含めた利活用に取り組むため、民間事業者からの提案を国内外から募り、四つの利活用候補事業を選定した。
15年度以降、利活用候補事業の提案者と事業実施条件の協議を進め、必要な事務手続きを完了。今回は先に協議が整った三菱地所、FSOの2事業提案者と基本合意書を締結した。
宮古島市は17年度当初予算案で、三菱地所が計画する国際線ターミナル建設の補助費に5億円を計した。今回の予算化に伴う利活用事業の進展が期待される。