「詳細な調査が必要」/陸自配備で水や暮らし考える
宮古島市への陸上自衛隊配備計画で、地下水や市民生活はどうなるのかを考える講演会(実行委主催)が19日、JAホールで行われた。地下水に詳しい専門家などが、宮古島の地形や地層などから目に見えない地下水の特性などを分かりやすく説明。「地下水は一度汚染されると、元に戻るには長い年月がかかる」などと述べ、「計画の前に詳細な調査が必要」との認識を示した。
防衛省が進めている宮古島市への陸上自衛隊配備計画では、部隊の人員規模は700~800人。家族を含めると1000~1200人程度の人口が新たに参入することになる。
講演会では、陸自配備で地下水の汚染が懸念されるとしたほか、新たな水源地の確保も必要との考えが示された。
第1部の「水問題」では、渡久山章氏(元琉大名誉教授)が「地下水の特性は目に見えない」とし、監視が難しいことを指摘。「陸自が入ってくると、アスファルトがやコンクリートが増え、雨水の地下への浸透量が減少する」と語った。
千代田カントリークラブ(CC)へ配置するとされる司令部(指揮所)の建物が、どのくらいの深さで建設されるのかが説明されていないことや「基地で使われる油や洗剤なども分からない。それが集落の近くにできるという異常さに問題がある」と話した。
新城竜一氏(琉大教授)は、宮古島の地形や地層などから、地下水の分布状況や水位変動などを説明。その上で、千代田CCは「流域の境界の上にある。活断層の疑いらしきものもある」と述べ、建物が建設された場合、さまざまなリスクや懸念材料が増える場所だとし、詳細な調査が必要との見解を示した。
第2部では「『トランプ(米大統領)の世界』で宮古・沖縄・日本はどうなる?」とのテーマで佐藤学氏(沖国大教授)が講演。トランプ大統領の「アメリカ第一主義」や「保護貿易主義」の内容、尖閣諸島をめぐる日中関係などを説明した。
米軍のオスプレイは武装しておらず、購入した自衛隊が補強したことなどを写真で紹介し、「こういったことが報道されていない」などと強調した上で「危機感をいかに伝えていくかが重要」と語った。
「宮古への陸自配備は止められるのか」との会場からの質問に佐藤氏は、米軍の普天間飛行場の辺野古移転反対の意思表示は10年間続いているが、政府は地元の話を聞かないことを挙げ「宮古への自衛隊配備計画も止めるのは難しいとしか言いようがない」と述べた。「宮古島はデリケートな場所。沖縄本島や日本の人たちの多くは、宮古島がどのように水を確保しているのか知らない。自衛隊施設が本当に必要なのかを伝えていく必要がある」と語った。