下地島空港の可能性期待
植木JAL社長 宮古・那覇「重要路線」
日本航空(JAL)社長の植木義晴氏が8日宮古入りし、島内を視察後、市内ホテルで地元マスコミと懇談した。植木氏は「伊良部大橋の開通で、宮古空港と下地島空港が結ばれた。この二つの空港を有機的に機能させていくのかが課題」などと述べ、下地島空港と周辺用地の事業利活用で、県と三菱地所が基本合意を交わしたことに期待を示した。「宮古・那覇路線は、南西航空時代から50年にわたる重要な路線」と強調。観光客数が70万人を突破したことを挙げ「宮古は伸び率から見ても発展性がある。これからも中心にしていきたい路線」と話した。
日本トランスオーシャン航空(JTA)が、7月1日に50周年を迎えることから、地元関係者に感謝の意を伝えるために来島した。
植木氏は、1975年に航空大学校を卒業し、パイロットとしてJALに入社。以来、57歳までの35年間にわたりパイロットとして乗務した。
下地島空港で、2カ月間訓練したこともあると言い、「私にとっては汗と涙が染みついた場所。あそこで教官にどれだけ泣かされたことか」と笑った。
「その空港も三菱地所が国際空港そしてリゾート地として事業展開するということを聞いた。われわれも何かお手伝いができればと考えている」と述べた。
観光客数が増加し、宮古空港の手狭さが指摘されていることについては、「中型機や大型機を多頻度に就航させるとなれば、施設面を拡充しないといけない」と語る一方で、伊良部大橋で結ばれた下地島空港との緊密な関連を持つことが重要だとの認識を示した。
「宮古への新規路線や増便の計画はないか」との質問には「現地の人は飛行機が就航すれば人が来ると言い、われわれは需要があれば就航させると言う。卵が先か鶏が先かの議論になるが、双方が歩み寄らなければならない」と指摘。「搭乗率補償制度など、自治体との協力が必要だ」と話した。
「LCC(格安航空会社)を好む客が、うちの客かというとそうでもない。逆もそうで、戦う分野ではない」と植木社長。「高速バスや電車で移動していた人が、それより安くて早い飛行機を利用するようになった。いわば新しい需要を掘り起こした」と説明し「そこでできた需要が、ゆくゆくはJALやANAに移ってくれば良い」と述べた。
その上で「LCCも多いに歓迎する。航空需要の全体のマスを大きくしていけば良いことで、その中でわれわれは最高の商品、最高のサービスを提供できる航空会社を目指す」と語った。
パイロットを目指す人には「よく、どういう勉強をすればなれるのかと聞かれるが、誰にも分からない。ただバランスの取れた人間になってほしい」と力説。「どの分野でも活躍できるような人間になるために、いろんな勉強をすることが大事。その中で、第一志望はパイロットだという夢を持ち続けて頑張ってほしい」とエールを贈った。