幼稚園「休園」増の可能性/少子化による園児減影響
市教委の規則改正も拍車
宮古島市でも進む少子化の波が、市内の幼稚園の休園という形で表れてきている。19園のうち現在、5園が休園中で、今後もその数は増える見込みだ。これは園児数の減少だけでなく、市教育委員会が園の管理規則を2015年末に「5人以上とする」と改正したことも拍車を掛けている。さらに、保育園が2年前から5歳児までの受け入れを導入したこともあり、幼稚園への入園希望が今後減れば、特に旧町村部の幼稚園が存続し続けることは難しい状況になりつつある。
市内の幼稚園のうち現在休園となっているのは、宮島、池間、来間、福嶺、城辺の5園。
市教委では15年12月の定例会において「園児の減少は園教育要領を指導するだけの環境が維持できない深刻な事態になっている」との見解から、市立幼稚園の管理規則を改正し「園児の数は5人以上とする」と決定した。
これを受けて、昨年は福嶺が、今年は城辺が相次いで休園となっている。
さらに、今月1日時点における園児数で、狩俣は7人、砂川は10人となっており、これ以上園児の数が減れば休園の可能性が高まる。
一方で、文部科学省の幼稚園設置基準では「一学級の幼児数は35人以下を原則とする」とだけ記されており、最低数を定めていない。
また、この問題に関連する陳情書について、9日に市議会の文教社会委員会で審議が行われた。
陳情書の内容は、福嶺の最低規定人数を廃止し、園の再開園などを求めている。
この陳情書は3月定例会に提案されて継続審議となっており、この日の委員会では、上里樹氏のみが賛成で、そのほかは反対し不採択となった。
上里氏は「5人以上というのは文科省の定めではない。あくまで市教育委員会が規則を改正して休園を決めているだけ。まずは存続に向けた取り組みをすべき」と訴えた。
一方で、市教委側の説明では、2年前に保育園でも5歳児保育が始まってからは預かり数は年々増加しているという。
多くの親が今後、4、5歳児の預かり先を幼稚園ではなく、預かり時間の長い保育園を選択すれば、幼稚園に入園する子どもの数は大幅に減少することになり、入園数が5人を割り込む状況になれば「休園」の措置が取られることになる。
宮國教育長は「こうした状況からできるだけ早く幼稚園と保育所の両方の機能を併せ持つ幼保連携型認定こども園設置に向けた取り組みを進めていく必要がある」と話した。