宮古和牛ヘルパー事業 受託料増え2900万円/16年度実績
頭数は11%減 1万1703頭/高齢化の課題浮き彫り
肉用牛の飼養管理や競り市場への輸送業務を受託するヘルパー事業の2016年度実績がまとまった。料金の改定で受託頭数は前年度比11%減の1万1703頭に落ち着いたが、受託料は前年度比450万円増の2988万円だった。ヘルパー事業の伸びは生産農家の高齢化に直結。不足する労働力をヘルパー事業で補う産業形態が映し出されており、肉用牛産業の課題を浮き彫りにしている。
宮古和牛ヘルパー利用組合(島尻誠組合長)が事業実績をまとめた。
ヘルパーは▽飼養管理▽市場▽削蹄-が主。飼養管理は畜主が冠婚葬祭で島外に出るときに利用するサービスで、市場ヘルパーは牛を輸送したり、市場で販売したりする業務をヘルパーに任すことができる。
利用料金の半分は国が補助する事業内容で、特に市場ヘルパーを利用する高齢者が多い。不足する労働力を補えるとあって利用率は年々上昇を続けている。
16年度は料金の改定があり、飼養管理は1日2000円から5000円(頭以下の基本料)に増額。削蹄も子牛が2400円から3000円に、成牛が3400円から3500円にそれぞれアップしている。牛を運ぶ市場ヘルパーは空胎の成牛が対象外となった。
それぞれ農家の負担が増える料金改定で、受託頭数は前年度と比べて11%減少した。ただ、依然利用率は高く、高齢化に伴う労働力の低下がかいま見える。
サービス別の受託頭数と受託料は▽飼養管理(2833頭、278万円)▽市場(2826頭、731万円)▽削蹄6044頭、1978万円)-となり、市場と削蹄は、それぞれ前年度の実績を上回った。
ヘルパー利用組合の島尻組合長は「削蹄については生産農家の意識の高さが数字で表れた。上場牛は大事な商品になる。きれいにして出すという意識が確実に高まっている」と話した。
一方、高齢化を裏付ける市場ヘルパーの伸びは「飼養管理はできても牛を運ぶ作業が困難だという農家が多くなっている。今後も右肩上がりで利用率は伸びると思う」と述べ、農家の高齢化と担い手不足に伴う産業の先細りを懸念した。