行雲流水
2017年9月26日(火)9:01
【行雲流水】(平和学の父)
ヨハン・ガルトゥングはノルウェーの社会学者。紛争調停人。多くの国際紛争を調停するとともに、平和研究の功績により、「平和学の父」と呼ばれている。平和や人権の分野で、ライト・ライブリフッド賞(もうひとつのノーベル賞とも言われる)など30以上の賞を受賞している
▼彼は「積極的平和」、「構造的暴力」の概念の提唱者としても知られている。戦争のない状態だけでなく貧困、抑圧、差別など、構造的暴力のない状態を「積極的平和」とする概念である
▼彼は、中央大や国際基督教大学などでも教鞭を執っており、日本の実情にも詳しい。現在の日本の危機的状況に当たって、昨年『日本人のための平和論』を出版、緊急提言を行った
▼積極的平和主義は、平和を深めるもので、軍事同盟を必要とせず、専守防衛を旨とする。しかし日本は、同じ言葉で逆の方向を進めている。米国は最も好戦的な国であり、第2次大戦後、37カ国で、2000万人以上殺害している。覇権主義の行使であり、経済的利益のためである。日本は米国と一体となって武力行使をするようになると、米国の誤った行動に対する報復を受けることになる
▼日本では、重要な米軍基地が沖縄に集中している。戦争では敵の攻撃力の中心をたたくのが常道であり、戦争になれば沖縄が敵からの攻撃の対象となる。米国への従属をやめ、米軍基地を撤去、日本が真の独立を勝ち取ることである
▼彼は強調する。「力頼みの安全保障によって平和を得ることはできない。平和によって安全保障が得られるのだ。