行雲流水
2017年10月5日(木)9:01
【行雲流水】(政治の季節到来)
「政治の季節」到来だ。今月は、衆議院議員と市議会議員を選ぶダブル選挙がある。住民が直接投票で住民代表を選ぶ唯一の機会だ。立候補者の公約やこころざしをじっくり吟味したいものだ
▼選挙をめぐる様相は複雑だ。政党の主義主張の違いだけではない。地縁・血縁・職縁のしがらみもある。それらを総合した1票が「民意」となって間接民主主義の基盤が確定する。鵜の目鷹の目を具備する必要がありそうだ
▼テレビで見る中央の政党事情は複雑怪奇だ。政治エリートたちが語る「正義」の裏には、党や個人の欲望が見え隠れする。選挙で勝つための理屈の競演のように見える
▼それが民主主義の原点だと言われれば、返す言葉はない。選ばれる側の〝見てくれ〟に問題があるのではなく、選ぶ側の〝鑑賞力〟が問われているのであろう。政治の世界は、芸術の世界に似たファジーな世界なのかもしれない
▼衆院選の台風の目は、小池東京都知事率いる「希望の党」のようだ。そのあおりを食って、野党第1党の民進党は分裂した。政治家も〝人の子〟だ。生存競争としての離合集散かも。これらの動きを政治のダイナミズムとみるか、はたまた人間の節操の無さとみるか
▼鎌倉時代の歌人鴨長明は、変転極まりない世相の中で「無常」を争うさまを次のように喝破している。「ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとどまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし」(方丈記)。