行雲流水
2017年10月14日(土)9:01
【行雲流水】(お前)
お前、二人称代名詞。日常よく耳にする相手に対する呼び方であるが、対する相手によっては使ってはいけない言葉である。古くは神仏や高貴な人に対して敬意をもって使われていたのだが、いまでは同輩や目下の者に親しみをもって使われる、反面相手を見下したり弱者に対するさげすみの意味で使われるようになった言葉だ
▼目上の人に対してこの言葉を使うと傲慢(ごうまん)な態度となり常識を逸脱したものと言われても仕方あるまい、と思える話を10月7日の産経新聞(デジタル版)に報じられた記事から抜粋する
▼「研修を無断欠席したことを注意した教頭に対し、『なんでお前に言われなあかんねん』などと暴言をはいた」市立中学校の歳になる男性教師の教頭先生にたいする酷い態度である。短い記事はこの教師の幼稚さをさらけ出した
▼自らの行為を正当化したいばかりに上司の注意を受け入れることができず、逆上して親子ほどの年の差があると思える上司をお前呼ばわりする若い教師の姿を思い浮かべると日本人の美徳とされる礼節の崩壊すら覚えてしまう
▼10日衆議院議員選挙が公示された。政権争奪戦と言われる選挙戦がこれから熾烈なものになっていくし、それに伴い街頭演説も激しさを増すだろう。少し前の話になるが安倍総理が街頭演説をした際に反対勢力のヤジとプラカードの文言は「お前が国難だ」であった。安倍氏を見下したヤジである
▼お前と同じ意味の「あんた」がある。この言葉も使われる相手によっては批判される。某大手新聞社の記者が安倍総理をあんた呼ばわりしたとしてネットで非難の的になっている。なおざりは許されない二人称代名詞だ。