行雲流水
2017年11月14日(火)9:01
【行雲流水】(遊び)
市街地のどまん中に子どもたちの遊び場を幾つもつくりたい。そこでは、誰でも自由に遊びを楽しむことができる。草野球は何名でもできる。子どもたちは、場所にあったルールを決め、熱中する。年少者のためには泥遊びができる場所と水道栓を設置したい
▼実は、そんな町があり、テレビで紹介されていた。遊び場があれば友だちが集まる。集まれば子どもたちは遊びを自由に工夫して、何でも遊びにする
▼この遊びの応援団(団長・松岡修造)はメッセージで述べている。「遊びは遊び、何かの手段にしない」。「遊びとはこういうものだと、決して決めつけないこと」。「昔、子どもだったことを忘れずに、子どもの心になること」
▼人間の定義には、ホモ・サピエンス(英知人)、ホモ・ファーベル(工作人)があるが文化史家のホイジンガは人間を「ホモ・ルーデンス」と規定した。「遊ぶ人」という意味である。人間の本質や存在意義を「遊び」に見いだし、文化は遊びの中に生まれて、展開してきたのだと説く
▼平安時代に編まれた「梁塵秘抄」の中の有名な今様がある。「遊びをせんとや生まれけむ 戯れせんとや生まれけん 遊ぶ子どもの声聞けば我が身さえこそ 動(ゆる)がるれ」。めんどりは無精卵をせっせと産むだけ。おんどりの「コケコッコー」と朝を告げる雄たけびが聞こえなくなって久しい。せめて、人間の子には、遊び場で歓声を上げさせたい
▼遊びの本質はその面白さにある。面白いから人を元気にする。元気になると、自由な文化創造を豊かにする。