「博愛の里」に農水大臣賞/上野
上野の地域づくり高評価/農業、観光、歴史、伝統に魅力
昨年10月、沖縄総合事務局の農林水産祭のむらづくり部門で「博愛の里上野」が農林水産大臣賞を受賞し、上野地域全体が大きな喜びに包まれた。今回の受賞は、各方面における活動や地域振興の取り組みが高い評価を受けたもので、同11月に那覇市で行われた伝達式では地域活性化の基軸となって活動を行っている博愛の里上野地域づくり協議会の垣花徳亮会長に表彰状が贈られた。同部門で、宮古からの受賞は10年ぶり。
今回の受賞は、上野地区の農業や文化、伝統などその取り組みと魅力を県宮古農林水産振興センターの名嘉真清美農業改良普及課長ら職員5人が、さまざまな資料を取り寄せて、まとめ上げた内容が高評価を受けた。
上野出身の名嘉真課長は「資料の取りまとめは4月にスタートし約3カ月間で完成させた。この取り組みの中でふるさとの歴史をさらに詳しく知ることができたし、先人たちのすごさを再確認できた。それを継承する活動と団結力を持つ上野地区を誇りに思う」と話した。
名嘉真課長らがまとめた調書では、受け継がれてきたドイツとの友好関係や急速に進行する過疎化の中で地域づくり協議会が活発な取り組みを展開していることや、それぞれの地域が一丸となって伝統文化を継承していることが紹介されている。
そのほかにも農業の基盤整備や、質の高い農産物生産に向けた若手の担い手育成など、農業を通した地域活性化なども詳細に記されている。
今回の受賞を受けて、12月には、地元で祝う会が盛大に催され、下地敏彦市長らも駆け付けて、受賞を祝うとともに、上野地区のさらなる発展を願った。
上野地区は、1873(明治6)年にドイツ商船ロベルトソン号が上野宮国沖で座礁した際に乗組員を救助したことで「博愛の里上野」として親しまれている。
ほかの旧町村部同様に過疎化が急速に進む中で、「博愛の里上野まつり」を開催するなど、地域活動のほか、農業や観光振興などにも取り組んで「博愛の心」を基調とした協調性豊かな活動は人口減少の歯止めにも効果を出している。
今回の農林水産大臣賞の受賞で、地域住民はさらに魅力あふれる地域づくりに向けて、活動の充実化を目指している。