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行雲流水
2018年3月31日(土)8:54

【行雲流水】(晩春から初夏へ)

 南北に細長い日本列島の春夏秋冬の季節感は一概には定められない。3月も終わり明日からは4月というこの時期、南の島は初夏の日差しだが北国はまだ冬の寒さだ。しかし、季節に拘りなく社会の動きがあわただしくなるのはこの時期だ

▼1月1日を起点とする暦年とは別に4月1日を起点とする年度の始まりは学校、官公庁、企業にとって大事な節目となる。当然ながら人々の動きもそれに合わせてのものとなりこれまでの日常は大きく変わる

▼集団の規律の中で学習を始める小学校入学の子供たち、学校を卒業して社会人として役所や企業で仕事に就く若者たちにとっては緊張の月であろうが、ここまで育ててきた親にとっては喜びであり誇りなのだ。一人親の家庭にあってはなおさらであろう

▼母子家庭の子が大学を卒業して自らの人生を切り開いていく姿には傍目(はため)ながら感動させられた。この子のために苦労をいとわず働いてきた母親に子は子なりに応えた

▼母親にとって高校卒業までが精いっぱいであったが、子は大学をアルバイトと奨学金で卒業した。大学卒業にとどまらず公費での海外留学も掌中にした。留学を終え帰国すれば大学院に戻るという。貧しさを乗り越え母の望みを遥かに超えたわが子に戸惑いながらも喜びを隠せない母親を称えずにおれない

▼いま、野山は木々の柔らかい若葉が初夏の日差しを受けて色鮮やかに輝いている。若葉はやがて夏の装いで色濃く逞しくなるであろう。新入生や新社会人となる子たちも巡りくる季節を迎える頃には独り立ちしていることだろう。それでもこの子たちの支えとなる大木であり続けたいと願う親の喜びを共にできる4月である。

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