行雲流水
2018年9月15日(土)8:53
【行雲流水】スポーツ雑感
スポーツというと大方はプロスポーツを思い起こすのではないか。普段の生活で健康維持のためにジョギングをしたりプールに行ったりすることをスポーツなんて思ったりしない。見る人も楽しいとは思わない
▼スポーツは競い合い、勝ち負けがあって当然だし、それがあってこそのスポーツだとほとんどの人は考える。仲間内でスコアを競い合うゴルフもチームを組んで試合をする草野球も勝ち負けがあるから楽しめる。しかし、利害の絡む組織が運営するプロスポーツの当事者となるとそうはいかない。国際的なスポーツ大会となるとなおさらだ
▼去る8日の全米オープンテニス大会の決勝戦をハイライトではあったが9日朝のネットでみた。なんとも異様としか言いようのない試合展開の不快感をどうしようもなかった。試合は日本の大坂なおみとアメリカのセリーナ・ウィリアムズ。ようやく世界に顔をだしてきた20歳とあまたの経験を積んで女王と称される36歳との対戦だ
▼結果は大坂が勝った。試合の途中ウィリアムズは主審の警告に逆上して泥棒呼ばわりし、ラケットをコートに叩き付ける始末で三度のペナルティーを宣告されて罰金を科せられている
▼最も醜悪だったのは観衆のブーイングだ。ニューヨークでの試合だから観衆のほとんどはアメリカ人だとみていい。彼らはウィリアムズを応援して大坂の勝利に不満の声を張り上げた。勝者である二十歳の女性に罵声ともとれる叫び声をあげたのだ
▼スポーツが商業化して莫大な賞金が絡んでくると感情的になることもあるだろう。贔屓(ひいき)の選手に勝ってほしいと思うのも当然だ。しかし、選手も観衆もスポーツを楽しむということを忘れてしまった試合では悔いだけが残ってしまった。(凡)