【行雲流水】(中傷と報道)
東国ニ源充(みなもとのあつる)・平良文(たいらのよしふみ)ト云二人ノ兵(つわもの)有ケリ。今野達編、大修館書店発行の「新註今昔物語集選」からの引用です。この二人は兵法の研究に余念がなく互いにライバル意識が強く仲が悪かった。そこに二人の言うことに枝葉をつけて告げ口をする者が出てきた
▼「充が『あいつが俺の相手になれるものか、片腹痛いわ』と言っている」と告げられた良文は「俺様に向かって偉そうなことが言えるか、ならば戦だと伝えよ」とやり返す。双方5、6百の兵を擁してにらみ合った
▼兵たちは「身ヲ捨テ、命ヲ不顧」戦の準備を進めた。いざ合戦の時になって良文は「合戦は貴公とわが輩の手並みを知ろうというのが狙いだから二人だけで射ち合おう」と言った。充も同意して相対して駆ける馬上から矢の射ち合いをしたが勝敗はつかなかった
▼情報が、相手に対する憎悪を煽り立てる内容だと敵意があらわになる。情報提供者の言葉に翻弄されて挑みあった闘いであったが、両者は「昔ヨリノ伝ハリ敵ニモ非ズ」父祖伝来の敵でもないし「互ニ手品ハ見ツ。止ナム」お互いの腕前は分かった。止めようと言って和解する
▼韓国のハンギョレや朝鮮日報といった新聞は日本の旭日旗を指して軍国主義を象徴する旗を掲げた艦艇が韓国に来ることは許せないと主張し、韓国民の反日感情を煽り、政府を突き上げた。情報提供者としての韓国メディアのみる日本は父祖伝来の敵なのか?
▼10月6日付の宮古毎日新聞2面トップ「海自、韓国観艦式参加せず」の記事は情報提供者の感情論に副う韓国政府との諍いを避けるための日本政府のやむを得ない処置とみるべきだろう。韓国メディアが日本中傷を「止ナム」というのはいつになるのだろう(凡)