【特集】新年号
2019年1月1日(火)8:58
市の文化財に国指定へ弾み/新城海岸
宮古島の無土器期代表するアラフ遺跡/貝斧など多数出土
宮古島の先史時代をひもとく貴重な資料として注目される「アラフ遺跡」が昨年末、市の文化財に指定されることが決まった。シャコ貝製の斧など先島諸島の無土器期を代表する遺跡として重要視されており、国の文化財指定も視野に入った。今も謎が多い無土器期の人々への関心が高まる。
アラフ遺跡は、城辺新城海岸に位置し、今から約2800年~1900年前の宮古島を代表する無土器期の遺跡だ。2000年から06年まで発掘調査団(江上幹幸団長)が8次にわたり調査を行っている。
遺跡からは集石遺構の跡や、シャコ貝製の斧、サメの歯の加工製品、イモガイ製ビーズなど多くの道具類が出土している。
特に4点のシャコ貝製の斧がまとまった状態で出土した貝斧埋納遺構は世界的にも類を見ない発見として注目を集めている。
調査団は、先島諸島の人々が集石遺構を調理施設として使用し、貝斧を木工道具として利用していたなどと推測。遺跡の一帯は居住環境として適した入江になっているため、当時の人たちは前面に広がる海に大きく依存していたことがうかがえるという。
これら貴重な資料が出土したアラフ遺跡だが、東海岸に多く所在する同様の遺跡のほとんどが砂の採掘によって壊滅状態にあることに危機感を持った市教育委員会が文化財に指定すべく保護審議会に諮問。昨年12月に認められた。
今後は、宮古地区で2例目となる国の史跡指定に向けて期待が高まる。