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旧暦:10月21日 赤口 己 
行雲流水
2019年1月17日(木)8:54

【行雲流水】(新年)

 降る雪や明治は遠くなりにけり(中村草田男)。「平成」最後の年賀状に接し、なぜか昭和初期の俳句が思い出された。今年は、昭和で数えると94年目にあたる

▼時の流れは連続しているはずだが、古代人は1年という区切り方を発見した。季節の変化は死活問題だったにちがいない。1年を周期とする気候変化を、月と太陽の動きで読み解いた

▼中国や日本では、自然界とは別立てで歳月の流れを区切る「元号」を考案した。過ぎた歳月を「歴史」に仕立てる便法だったのかもしれない。改元は、感情という色彩を帯びた現実をモノクロトーンの過去の風景に替える作用があったようだ

▼今年の正月は、1年の始まりと改元の予告が重なるめずらしい正月だ。平成時代の出来事を「歴史」の印画紙に定着させ、新たな旅立ちに向かう年のような気分になる。「今一度、日本を洗濯する」(坂本龍馬)年になるのかどうか

▼全国の初詣で客の多くは、地球温暖化に伴う自然災害を危惧していた。早くも台風1号が発生している。宮古島にあってはスーパー台風への備えが浮上してきそうだ。瞬間最大風速80㍍に耐えるビニールハウスや植樹方法などの工夫が必要だが、経験から学んだ智恵だけでは心細い

▼風洞実験設備のある研究機関や大学との連携が必要だ。経験則と学問の融合をどのように図って行くか。要路の方々は、研究開発プロジェクトの組み方や予算獲得手法に習熟してほしい。臆せず、前向きに、新たな知見を吸収して、「旧態依然」から脱する年になることを期待したい。(柳)

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