【花は島いろ】仲松 政治さん(70歳)石川酒造場社長
生まれ島の将来に期待
仲松さんは琉球大学農学部畜産学科を卒業後、1972年琉球飼料(浦添市)に入社。常務、専務を経て99年社長に就任し、2011年に副会長、13年から相談役を務めてきた。
1999年からは石川酒造場の非常勤取締役として経営改善の指南役を兼務し、2013年に専務、14年には事業・経営内容に精通する仲松さんが三代目社長に起用された。創業家以外で社長に就くのは初めてという。
畜産用飼料を製造販売する会社経営に長年携わってきて、異業種の泡盛事業に転身することに、「戸惑いはなかった。どの会社の経営にも共通した普遍性がある。どう会社を良くするのか目標を持って確実に実行する。そういった基本理念の下で、しっかりやるしかない」と前向きだ。
石川酒造場は1949年に那覇市首里で創業。90年に工場拡張のため、現在の西原町に移転した。昔ながらのかめ仕込み製法で泡盛を製造する。73年に泡盛を蒸留した後に残る酒粕から、県内で初めて「もろみ酢」を開発、商品化している。
社長に就任すると、工場のある西原町を拠点にして、地域への密着を最優先に考えたという。「町内にある32の自治会を訪問したり、行事にも積極的に参加したりして、交流や関係を続けている。その効果は、西原町での市場占有率にも表れている」と強調。現在、西原町商工会の会長も務める。
酒造会社の社長として、県内泡盛業界の現状について「若者のアルコール離れなどもあり、泡盛消費量は年々減り続けている」と指摘した上で、「そういう状況を打開するためには、泡盛をブレンドした商品づくりなど、いろいろバラエティーに富んだ製品の開発をしなければならない」と力を込めた。その取り組みとして、琉球大学と共同研究で、もろみ酢を乳酸発酵させる技術を確立し、2016年から新商品「美らBio(チュラビオ)」を発売している。
仲松さんは生まれ育った故郷への恩返しとして、琉球飼料の役員時代の多忙の中で、沖縄伊良部島郷友会の会長も務めた。当時を振り返り「郷友はありがたい。行事への参加や協力の呼び掛けに、真剣に応えて支えてくれた。郷友会の親睦の輪も広がり、良い経験をさせてもらった」と懐かしむ。
同業者として宮古の酒造所への思いは、「県内の泡盛業界は厳しい状況にある。お互い会社の特徴や個性を伸ばしながら、業界の発展のために共に頑張ろう」とエールを送った。
ふるさと伊良部へは「伊良部大橋ができて景観も素晴らしい。大手のリゾート開発業者の計画などで、土地ブームだと聞いている。伊良部の発展のためには、ありがたい」と島の将来に期待を寄せる。