【花は島いろ】/砂川昌範さん(52歳)名桜大学人間健康学部長
「やんばる」の長寿を取り戻す
【那覇支社】名護市にある名桜大学の人間健康学部長を務め、沖縄本島北部地域の健康長寿復活に向け取り組んでいるのは、平良西仲宗根出身の砂川昌範さん。「研究者として、やんばる地域の健康増進を図り社会貢献したい」と語る。
砂川さんは北小を卒業後、中高一貫校の熊本マリスト学園で6年間の寮生活を送った。当時を、「全寮制で沖縄の人も多かった。宮古からも5人いたので、ホームシックにはならなかった」「親とは離れているからこそコミュニケーションもとれて、いろいろ話し合えるようになった」と振り返る。
その後、琉球大学医学部を経て同大学院医学研究科を修了。専門分野は生理学で、名桜大学には2015年から勤務している。
名桜大学では昨年11月、健康長寿に関する国際シンポジジウムが開催され、北部12市町村の首長が「やんばる健康宣言」を発表した。砂川さんによると、北部地域では高齢化に伴う認知症や生活習慣病の増加、ガンの罹患が問題として指摘されているという。
砂川さんは沖縄本島北部地区12市町村と連携した大学研究チームの代表者として、地域に住む働き盛り世代(20歳以上65歳以下)の詳細な健診を行う「やんばる版プロジェクト健診」を実施。生活習慣病や認知症、ガンの発症が日頃の生活習慣とどう関係するかを研究している。
「健診データをカード化したり、自分のスマホでも確認できるようにすれば、病院で受診する際にそれらを見せることで健康状態を知ってもらい、適切な医療が受けられる」と指摘する砂川さん。「地域の保健師なども、健診データを見て的確な保健指導ができる。そういう取り組みを、宮古を含めた沖縄全体に広げたい」と前向きだ。
学内では、同郷の宮古出身者と連れ立って飲む機会を設けているといい、「ときどきオトーリを回して盛り上がっている。オトーリは学生時代に初めて体験し、口上を通して人前で話す場数を踏んだ。そのお陰で学部長をしているし、管理職としても役に立っている」と笑う。
指導する看護学科にも宮古出身の学生が数名在籍する。「心根が優しく、まじめで向学心が高い。看護や医療に関する職業は、宮古の人の特徴に合っている」と強調する。
今後の目標については、「いま取り組み始めたプロジェクト健診をライフワークとして充実させ、看護の学生を育てて沖縄の医療の下支えになれるようにしたい」と力を込めた。
地元、宮古の同級生については「自分は通学しなかった北中の同窓会に呼んでくれる。ありがたい同級生がいっぱいる」と仲間意識に感謝した。