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行雲流水
2019年7月9日(火)8:54

【行雲流水】(生物文化)

 生物文化遺産プロジェクトチーム(研究代表者・当山昌直)による「消失の危機にある琉球の生物文化の記録保存から『生物文化遺産』創出の道を開く」(概要報告)が刊行された

▼本書によると、琉球の人々は身の回りの動植物に独自の名前をつけ、同時にこれらを利用して暮らしてきた。そこには先人たちの知識や知恵が豊富に残されている。これを生物文化遺産と称する

▼琉球列島は多くの島々からなり、島の自然は多様性に富んだ生物文化を生み出している。しかし、このような文化は生活環境の変化や語り部の高齢化等により、急速に失われつつある

▼プロジェクトチームは、そうした消失の危機にある琉球列島各地に残る「生物文化」を調査、記録保存し、次世代への継承と普及を図る。それは、地球規模で進む環境と文化の多様性の破壊による文明の危機を乗り越える営みと軌をいつにする

▼2018年には沖縄県立博物館・美術館で「人と自然が織りなす世界-奄美沖縄の生物文化-」をテーマにシンポジウムが開催された。シンポジウムでは、基調講演・「琉球弧の農耕文化と生物文化」(安渓)、「八重山からの報告・八重山のアダン文化」(寄川)、「宮古からの報告・宮古のサシバ文化」(久貝)、「奄美からの報告・屋敷、アタリの植物と利用」(田畑)、「沖縄島からの報告と全体のまとめ・奄美沖縄の生物文化-島じまを巡って」(当山)が報告された

▼生物文化は皆が当事者。諸事象を生物文化という広い観点でとらえ、プロジェクトチームに学んで、意識と課題を共有したい。(空)

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