行雲流水
2019年8月13日(火)8:54
【行雲流水】(七夕とお盆)
7月7日は七夕。宮古ではこの日墓地を掃除、祖先や亡くなった家族の霊に対し、お盆には家にきて供養されるよう招く。そして、きょう13日は迎え日で、精霊は15日の送り日まで家族と共にひとときを過ごす
▼七夕には、織姫と彦星の伝説がある。織姫は機織りが上手な働き者の神様の娘。彦星は同じく働き者の牛飼いの青年。二人は恋に落ち、結婚するが、結婚した途端になぜか働かなくなる。怒った神様は二人を天の川の両岸に引き離し、働くようになれば、年に一度、七夕の日に逢うことを許すと告げる。二人は、懸命に働いて、その日を待つようになる
▼彦星は鷲座の「アルタイル」、織姫は琴座の「ヴェガ」で、ともに白色の一等星である。両者の距離は14・5光年であるから一夜のうちに川をわたることはとてもできない。しかし、万葉の時代から詠われているように、人々は二人の逢瀬のロマンを、心の世界で想い描いてきた
▼ところで、現生人類ホモサピエンスの前のネオンデルタール人の頃から、人は死者の追悼に花を捧げていたことが分かっている。一方で、孔子でさえ、弟子の季路の死についての質問に答えて、「いまだ生を知らず、いずくんぞ死を知らん」と語っている
▼彼岸のことについての考えはさまざまである。しかし、亡くなった死者を思い、供養したいと思う心の世界は普遍的で真実である
▼お盆には島外に住んでいる家族や親戚が大勢帰省して祖先や亡くなった家族を供養する。同時に、共通する思いで、人と人を親しく結びつける。(空)