【花は島色】伊計 高秋さん(63歳)「秋建設」「匠の技沖縄」代表
「故郷への貢献」を胸に
【那覇支社】沖縄市の住宅リフォーム会社「匠の技沖縄」と総合建設業「秋建設」の代表取締役を兼務する伊計高秋さんは、伊良部前里添出身。「沖縄本島で仕事しながらも、島への貢献をいつも考えている」と熱く語る。
佐良浜中学を卒業後、沖縄市で兄が営むベット製作所に住み込みで働いた。その後、大工見習いを経て型枠工事業の「伊計組」を創業。10数年後、事業の拡大で「秋建設」に法人化した。
土木建築施工に加え、設計や不動産業も展開する。本島内で住宅やアパートなどの建築を数多く手掛けてきた。さらに、住宅リフォームの需要を見越して「匠の技沖縄」も設立。県内テレビCMでも、社名が知れ渡った。
伊計さんは「父親が病気がちで働けないため、家計は苦しかった。経済的な負担を掛けられず高校進学を断念した。人に言えない苦労や努力はしてきた」と振り返る。また、「自分の力で頑張るしかないと、不屈のアララガマ精神で多くの資格や免許に挑戦した」と話した。
懸命な努力のかいあって、「一級土木施工管理技士」の資格をはじめ、「二級建築士」「宅地建物取引主任者」「一級建築施工管理技士」「職業訓練指導員免許」などを取得した。「その間、常に思ったのは学問の大切さ。高校に行けなかった分、人並み以上に勉強した」と懐かしむ。
会社経営の方針は「お客さんの立場になって考え、誠意をもって仕事をやれば、しっかり結果は返ってくる。儲けるだけではなく、社会への貢献も企業の重要な役割だと認識し、奉仕の気持ちを大事にしている」と強調した。
また、人間的に成長させてくれた島への恩返しとして、これまで宮古の社会福祉協議会や母校などへ寄贈や寄付をし、数多くの感謝状が贈られている。
在沖の郷友たちとの絆も大切にし、沖縄伊良部島郷友会の会長なども経験して毎年の郷友会行事を支えている。このほか、ちゅらうちなー安全なまちづくり功労者として知事表彰もされた。
島の子どもたちの人材育成を支援するため、2014年から「東大生講座in伊良部島」を企画して同実行委員会の委員長を務める伊計さん。伊良部地区の児童生徒のため、現役東大生を講師に招いて夏・春休み期間で集中的に指導する無料の学習講座で、8月の開講式では「将来にわたって伊良部島を愛し、島や社会に貢献する意欲・姿勢を高める機会にしてほしい」と激励した。
伊計さんは「いま、県内で一番発展する可能性を秘めているのは我がふるさと伊良部島だと期待している。島の将来を担う子どもたちには頑張ってほしい」とエールを送った。
伊良部前里添出身