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私見公論
2019年9月13日(金)8:54

【私見公論】今問われる大人のライフプラン/竹井 太

 大和では「あ」から始まり「ん」で終わる言葉を使う「あいうえお文化」で育った私にとって、「ん」から始まる言葉が常用的に使われる「んから始まる文化」に触れた時の衝撃が刻印付けとなり宮古島での生活が始まりました。そんな中、宮古ふつが消滅危機言語に指定されてしまったことに危機感を覚え、いつまでも宮古ぴとぅの心を支える宮古の言葉が失くならないようにと、有志で集まり宮古ふつカラオケ大会を開催したことがありました。今、内容は少し違いますが同様な危機感が新たに芽生えてきているものがあります。それは、宮古島の不健康問題です。

 ここに、宮古島の健康統計があります。生産者年齢の若者、特に男性ですが、平均寿命は日本で一番宮古島が短命です。加えて、不健康状態をつくり出す全ての原因といっても過言でないメタボリック症候群、高血圧症、糖尿病罹患者もその数は宮古島が日本で一番多い地域です。さらに安定生活の基盤を揺るがす離婚率も日本一で、その余波を受けた宮古島の将来を支える子供たちは、日本で有数の高肥満率、夜9時までに眠らない子供たちが街に溢れ、飲酒、喫煙、違法薬物中毒の危険にさらされています。みなさん、この現実をご存知だったでしょうか? どのように感じられますか? このような不健康な状態が続けば宮古ふつ同様、世界絶滅危惧民族になりかねないかと危機感が募り、島で働く医療関係者の責任として、1日も早くこの不名誉を返上したいと心から願います。

 昨今、アドバンスケアプランニング、エンディングノート、終活などといった人生の終焉の時期にターゲットを合わせた人生の締めくくり方が広く取りざたされていることはご存知のことと思います。多くの人はこのことを考えた時に、将来やってくるであろう未来をみこして必要な身辺整理を行い誰にも迷惑をかけないように終焉対処を考えられています。

 でも、ここで気づいてほしいことがあります。これらのライフプランはその人がどのように人生を、生きて活きて逝ききれたかにより当然変容するということです。できるならその時を迎える時、より満足度の高いプランになるにこしたことはありません。では、そうするためにはどうすればいいのか? 将来の不安を少しでも減らすことができればより理想に近づけると思いませんか? そこで現状を考えた時、今の社会環境では自分らしく暮らせる夢ある老後は残念ながら望めません。昔を惜しむ訳ではありませんが、かつては55歳で定年し、それなりに自由になる年金で悠々自適に自分らしく過ごせる時代が私たちの親の時代にはあったように思います。しかし、今は70歳まで健康勤労奨励、年金支給はどんどん先延ばしになり、その額も減る一方。さらなる将来不安は老後貯金2000万円問題が拍車をかけ不安を煽ります。政治・行政手腕が問われるところでありますが、変革に時間がかかるこの話題は別の機会にするとして、将来不安をなくすため自分たち個人ができることから考えてみることが現実的なことと思います。

 そこで、お尋ねします。みなさんは、どのような健康管理をされていますか?将来の不安払拭には、自分の実力を知ることが必要です。まず、自分が健康か否かの評価をし、本気になって生活基盤である健康をいかに維持、管理するかを考えることが必要です。それができなければ自己満足度の高いライフプランには到底近づけず、人に迷惑をかけないために残すだけの言い訳不本意ライフプランで終始すると考えています。

 社会構造が変わり、生活環境が変わり、命の価値観が変わり安心して死ねない社会になりました。健康な人でさえも生きにくい環境であるのに、不健康では自分らしく人生を全うできないことに早く気付くことです。

 バガ、アタラスーアタラス、ミャークビィストゥ、健康で過ごすためには自らのアクション、自己責任で積極的に健康診断の機会をつくりましょう。決して棚ぼた的に待っていても健康はやってくることはありません。さてさて、今のあなたのライフプランに満足できそうですか?(うむやすみゃあす・ん診療所院長)

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