夢舞台 ツアーVに照準/プロゴルフの多良間伸平
地域への恩返し誓う
市城辺友利出身の多良間伸平(19)が、男子ゴルフの世界でプロの資格を手にした。宮古総合実業高校を卒業した昨年に一発で決めた。2020年、プロ2年目の飛躍を誓っている。
小学生の頃から寝ても覚めてもゴルフだった。学校を終えると、その小さな体にゴルフバッグを背負ってコースへ直行。一心不乱にボールを打ち続けた。
ずっと一人だったが、飽きることはなかった。思うようにボールを操れない日もあれば、成長を感じるスイングと打感、球筋に快感を覚える日も。失敗と成功を繰り返す毎日に夢中だった。プロテスト合格を決めた実力の背景には、そんな月日の流れがある。
成績は華々しい。高校1年時、九州選手権で13位タイに入賞。全琉アマチュア選手権では4位に入った。
2年生になると九州選手権新人戦で優勝、第1回全国高校選抜マッチプレー選手権ではセミファイナルまで進み、県民ジュニア選手権では頂点を極めた。
高校最後の年は全琉アマチュア選手権を制す。九州アマチュア選手権でも3位に入るなど、その実力を内外に示す活躍を見せた。
ゴルフに臨む多良間の集中力はすさまじい。試合でも、練習でも1球ごとのスイングに全神経を注ぐ。どっしり構えたスタンスを土台に流れるようなバックスイングへ移行すると、ダウンスイングでは正確無比にクラブを振り下ろす。捉えたボールは選択クラブに応じた高さと速さで飛び出していく。1球たりとも気を抜くことはない。フォローの姿勢までプロツアーでの戦いを意識している。
指導者は、国内外の女子ゴルフ界で活躍した宮里藍さんの父・優さんだ。学生時代は夏休みなど長い休みが取れると沖縄本島に飛んで指示を仰いだ。「強くなりたい」。その一心でゴルフを追い求めてきた。
自身の努力と指導者による適性評価および的確な技術指導。誰よりも貪欲に上達を求め続けた姿勢が、プロの扉をこじ開けた。
だが、多良間は常に、自分を押し上げた要因として地域の支えを口にする。ゴルフ場への送迎を続けてくれた両親はもとより、物心両面でゴルフに打ち込める環境をつくってくれた地元のゴルフ協会、さらには無料または特別料金でコースを使わせてくれたエメラルドコーストゴルフリンクスとオーシャンリンクス宮古島。そして練習場のワイドーゴルフ倶楽部。取材を受ける多良間は、必ずこんなふうに言って感謝する。
「今の僕があるのは地域のおかげなんです。毎日のようにラウンドできる中学生や高校生なんてそうはいませんから。そんな恵まれた環境があったから、僕はプロになれたんです」
プロ1年目は「あっという間に過ぎた」という。2年目は一つでも多くのレギュラーツアーに出場することが目標だ。今は沖縄本島の練習場で仕事をしながら練習に打ち込む毎日。以前より練習時間は確保できないが、余念なくゴルフと向き合えている。「これからは僕が地域に恩返しをする番です。しっかりと頑張りたい」。ツアー優勝という夢の実現を目指す。