インド藍で染める
宮古上布発展に尽力/砂川美恵子さん(染織・織作家)
染織・織作家の砂川美恵子さん(69)=平良=は、幼少時代、祖母から宮古上布についての話を聞いて育った。22歳の時に宮古上布の伝統工芸に携わった。32歳の時にインド藍と呼ばれる植物に魅了され、以後インド藍を用いた本藍染を始めた。現在は国指定重要無形文化財の宮古上布保持団体の理事を務め製作技術の保存・伝承に情熱を傾けている。砂川さんは「今年も後継者育成に力を入れ、立派に育てたい」と意欲を見せる。
宮古上布の製作工程は数多い。深みのある美しい藍染の色合いに仕上げられるのも工程の一つ。藍で濃く染められた布を紺地と呼ぶ。
砂川さんは藍畑約660平方㍍で、インド藍と総称されるナンバンコマツナギとタイワンコマツナギを栽培する。
砂川さんによる製藍法を概略すると、インド藍の葉っぱを水に漬けて発酵させるなどして沈殿藍(泥藍)を作る。そして藍建て作業に取り掛かる。
藍がめの沈殿藍に木灰(あく)、泡盛、黒砂糖を入れる。1日1回攪拌(かくはん)すると、10日ほどで発酵する。
藍染ができる状態は液体の表面が青緑色になり、中央に藍の華が湧く。それから宮古上布の手績(う)みの苧麻糸を染める。
砂川さんは「藍の華には感動する。それも藍染の魅力だわ」と瞳を輝かせた。
宮古島では、インド藍を使う以前から、伝統の藍染がある。その藍染の主な原料は琉球藍とタデ藍(藍草)である。
琉球藍は沖縄本島北部に多く産し、別名が山原(ヤンバル)藍、山藍、唐藍などと呼ばれる。琉球藍と宮古上布との関係は深い。タデ藍は古い時代から宮古島に自生していたとされる。
2つの植物とも貴重な植物であり、今後とも大切に育てることが最重要と言える。