企画・連載行雲流水
2011年9月6日(火)8:55
さわやかな新北風(行雲流水)
さわやかな新北風(行雲流水)
9月。残暑が厳しくても、さわやかな新北風(ミイニシ)が吹いてくる。「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」(藤原敏行)
▼秋は実りの秋、馬肥ゆる秋、スポーツの秋、祭りの秋である
▼8日は白露、アカハラダカがやってくる。入江あたりでは人々が遠くの空に双眼鏡を向ける。5日から3日間は、多良間の「八月踊り」(国指定重要無形民俗文化財)。豊年を祈願、多彩な奉納舞踊が演ぜられる。11日(旧14日)は「なりやまあやぐまつり」、友利イムギャーの海上特設舞台で、なりやまあやぐ大会が行われる。幻想的な雰囲気のなかで、名歌・なりやまあやぐが響きわたる。やがて、東から月が昇り、こうこうと冴えわたる
▼12日(旧15日)は十五夜。人は中秋の名月を愛でる。「名月をとってくれろと泣く子かな」(小林一茶)。月は頭上から地上を見渡す。「月天心貧しき町を通りけり」(与謝蕪村)。旧上野村・野原ではマストリャーが行われる。豊穣の祈りと観月のあとは、男女が集い、男性は勇壮な棒踊りを踊り、女性は情感を込めた歌に合わせて踊り、最後は男女一緒になってクイチャーを踊る
▼この月、ほとんどの小・中学校で運動会があって、子どもたちは元気よく走り、跳ねる。敬老の日、老人の日があり、老人を敬愛し長寿を祝い、老人の福祉についての関心と理解を深める。秋分の日には祖先をうやまい、亡くなった人々を偲ぶ
▼「四季の歌」はうたう。「秋を愛する人はこころ深き人、愛を語るハイネのような僕の恋人」。