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行雲流水
2011年10月17日(月)22:50

サシバ(行雲流水)

 「寒露」。それは、秋の風物詩「サシバ」の飛来する節気である。サシバは大陸や日本列島の各地で繁殖、愛知県渥美半島の伊良湖岬で集結、次いで伊勢湾、紀伊半島、豊後水道を経て鹿児島の佐多岬に集結、北よりの季節風が吹く気象条件のよい日に南下、宮古諸島に飛来する。宮古で羽を休めると南の越冬地へと飛び立つ

▼サシバは精悍な姿と飛翔の美しさで人を魅了する。また、困難や危険を乗り越えてひたすらに旅を続ける。そのけなげさが感情移入を誘う

▼彼らは遠い記憶に導かれ、衝動にかられて旅に出る。山を越え、海を渡り、風雨に耐えて、旅を続ける。その壮大な渡りはこの星の豊かさのしるし。彼らは、小雨の煙る優しい秋を運んでくる。旅の厳しさとロマンを語る。青少年の頃の思い出をよみがえらせる

▼サシバは絵かきである。大空に引く鋭い直線は妥協を許さない意思の表象。緩やかな曲線は舞い、生きる喜びの賛歌。明暗を反転させながららせん状に限りなく上昇する鷹柱、それは祈り、または昇華。いろいろな色に染まる雲、時には雷鳴がとどろき、時には虹が希望を約束する

▼彼らは羽を休めると、羽づくろいをして、星空に明日を夢見る。夜が明けると、仲間と呼びかけ合って南へ向かって直進する。南では常緑樹の豊かな森が待っている

▼一昨日(10月16日)、伊良部島には数千羽の大群が飛来、久松の「夕日の丘」上空を約800羽が通過、多数のファンを感激させた。「タカドーイ デンゴ」、ようこそ宮古へ、サシバたちよ!

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