行雲流水
2011年12月7日(水)22:36
「師走」(行雲流水)
間もなく平成23年は閉幕し旧年となって新年辰年を迎える。古人は年の暮れ12月について「しわす」と名づけた。漢字表記では「師走」である。僧侶(師)が先祖供養のため檀家を忙しく走りまわる月だから師走の呼称となったという
▼一年最後の月ゆえ別名〝極月〟(ごくげつ・ごくづき)とも呼ばれている。さらには新年を心置きなく迎えるためすべての物事をなし終える意の〝為果つ〟が音韻転化して「しわす」になったとの説もある
▼ところで野田首相は先日記者会見でこの〝為果つ〟呼称を地で行くかのごとく「消費税率引き上げ」の素案づくりや普天間代替施設建設に伴う「環境影響評価書」の提出も年内に果たすと明言した
▼菅前首相が消費税率10%を唐突に打ち出し直後の参議院選で民主党を大敗させた苦い前例も教訓とはなり得ないようだ。衆参勢力が相反するねじれ国会に陥り政策(公約)の実現は困難をきわめているというのにである
▼片や任命した一川防衛相は度重なる失言で野党から大臣資質を厳しく問われている。同党の政調会長も(閣僚として)勉強不足と苦言を呈した。県民も大臣辞任すべきと糾弾している
▼が、大臣が入れ替わろうとも本質は変化しないであろう。昨今の大臣は名ばかりで背後に控える知的集団たる官僚に操作されて国民に公約した〝政治主導〟など無きに等しいからである。