行雲流水
2011年12月14日(水)22:48
「師走雑感」(行雲流水)
師走も中日。きょうから年賀郵便の特別扱いが始まる。歳末たすけあい、未成年者の飲酒防止、防災・防犯・安全キャンペーンなども展開中だ。師走も後半になると、対数グラフの目盛の間隔が押し詰まって行くような切迫感がある
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▼そんな中、飲酒の機会も増えそうだ。「少量だ。大丈夫だ」と一人合点で運転するクセがないかどうか、気になるところ。飲酒運転も廃棄物の不法投棄も、根っこは同じではないだろうか。車も、消費物資も少なかった時代の行動様式をひきずっているように思える
▼復帰前は信号灯がなくても、廃棄物の処理工場がなくてもさほど問題はなかった。しかし今や、車は1家に2台、日常の廃棄物は際限なく出る〝豊かな時代〟
▼量の変化は質の変化をもたらす、との先哲の言葉もある。量の変化にうまく対応するためには、仕組みをシステマチック(組織的、体系的)にすることが必要だが、システムが十分に機能するためには個々人の心構えの転換が不可欠だ
▼文明開化の先覚者福沢諭吉は若い頃から酒好きだった。が、いくら飲んでも卑怯な振舞いはしないとの独立自尊の矜持があったという(「福翁自伝」)。〝卑怯な振舞い〟を現代社会に引き移すと、〝飲酒運転〟はその代表例の一つだ。酔って運転すれば文明社会は成立しない。文明人としての矜持がなければ個人も社会も破滅へ向かう
▼年末は仕事に追われるだけでなく、考えさせられることも多い。せわしさにめげず、残る日数を無事に乗り切って明るい新年を迎えたいものだ。