行雲流水
2011年12月26日(月)23:45
「交響曲第9番」(行雲流水)
ベートーベン作曲の「交響曲第9番」は終楽章に歌う。「おお友よ、このような調べではなく、もっと心地よい、もっと歓喜に満ちた歌を歌おうではないか」。年末の演奏は恒例のことだが、今年2011年は特に心にしみて響いてくる
▼弱肉強食の新自由主義と経済のグローバリズムは、極端な格差を生み、政府は強者の側の論理で動き、弱者の側は見捨てられていく。この不条理に怒った人々が世界各地で抗議行動に立ちあがっている。わが国も例外ではない。OECD(経済協力開発機構)が指摘するように、競争力強化の名の下に大企業に有利に税制は変更され、雇用でも非正規雇用が増大されて格差が広がっている
▼政府は関税を原則ゼロにするTPP(環太平洋連携協定)に参加することを決めている。輸出産業界と米国の圧力によるものだが、一次産業に打撃を与えるだけでなく、米国は自国に有利になるよう日本に対する構造改革要求を隠そうともしない
▼辺野古における新基地建設に反対し、普天間基地を無条件撤廃せよという要求は県民の総意である。沖縄の米軍基地が米国の世界戦略のためのものであることは言うまでもない
▼与党は野党の顔色をうかがい、野党は政府・与党の失点で浮揚を図る。当然明るい展望は見えてこない
▼でも、明けない夜はない。大阪と東北・仙台を結んで1万人の大合唱団が第9の「歓喜の歌」を高らかに歌った。「汝の魔力は、時流が強く切り離したものを再び結び合わせ、すべての人々は兄弟となる」