子どもたちに夢与えて30年/人形劇団「んまだいしょう」
記念公演は宮古民話の「川の種」
人形たちの動きに食い入るように目を輝かせる子どもたち。宮古の民話や創作話を人形劇に託し子どもたちに夢を与え続けてきた人形劇団「んまだいしょう」(奥平久乃代表)。昨年暮れ、結成30年を迎え、記念公演が市中央公民館で開かれた。宮古民話を題材にした「川の種」が披露され、会場に詰めかけた多くの親子連れをメルヘンの世界へと誘った。
今では各学校に父母たちの読み聞かせの会があって、絵本と子どもをつなぐ情操教育が盛んになっているが、11年前はほとんどといっていいほど、そうした活動はなかった。代表の奥平さんは学生時代、那覇で地域に根ざして活動する人形劇団「かじまやぁ」(桑江純子代表)と子どもたちのふれあいに感動、宮古に帰って自らもそうした活動がしたいとサークルを結成した。
人形劇団「んまだいしょう」を立ち上げた1981年11月に、当時の文化センター(旧平良図書館)で旗揚げ公演が行われた。子どもたちを中心に約500人の観客が押し寄せ、大盛況となった。奥平さんは「当時そうしたイベントが少なかった。もっと、子どもたちの喜ぶ顔が見たいと活動は盛んになっていった」と当時を振り返る。
記念公演は、北小おはなしクラブももたろうや城辺学童保育クラブも花を添えた。人形劇は、下地地区の崎田川にまつわる民話で、干ばつの最中、病気になった父親を元気にしようとおいしい水を求めて旅に出る孝行息子の話。病気の老人やマズムン(妖怪)、神さまなどが登場して物語を盛り上げた。
今回、初めての試みで生演奏によるBGMを沖縄本島の音楽グループ「ティーラス」が担当。三線や二胡、フルートなどあらゆる楽器を組み合わせ、臨場感を醸し出した。会場の子どもたちは大陸的雄大な音楽を楽しみながら、次々と展開される人形たちの動きに目を輝かせていた。