行雲流水
2012年1月16日(月)23:04
リング(行雲流水)
新年に、リングをイメージしてみた。リングには端がないし、終わりがないから、一般には「永遠」や「完全」を象徴する。だから、リングは結婚指輪や婚約指輪に用いられる。ある意味では人も世界も、宇宙もリングである
▼ゴム風船の表面に多数の、点のしるしをつけておく。風船を膨らませて次第に大きくしていくと、点と点との距離は離れていき、離れる大きさ(速さ)は点と点の距離に比例する。膨張宇宙論を説明するときによく用いられる例えである。したがってそこ(宇宙)には中心はないし端(辺境)もない。在るのは存在の理法で、その統一的普遍性が美しい
▼日本地図には日本が中央に描かれているが、西洋で使う地図では、日本は東の果て(極東)に位置する。その実態は歴史的、人為的なもので普遍性がない。各地点は固有な歴史や文化、自然を持って結ばれたリングで、本来、中心はないし、果て(辺境)もない
▼それをゆがめているのは、力の論理に支配された「国益」のせめぎあいであり、社会的責任を失した利益優先の資本の論理である
▼人権は人間が人間として生まれながらにして持っている権利であり、その尊厳は、手を取り合って守られ、果てしなく続く普遍性のゆえにリングである。「生活権」が重要な人権であり、その最大の侵害が戦争であることが、今、強く意識される時代である
▼よきリングは外圧を押し戻す復元力を持っている。そして、それがより合わされてできる「絆」(連帯)が、地域の再生と人権を守る力となる。