自然の中で春を詠う/しきなみ短歌会宮古支苑
毎月の短歌会を通して生活を楽しんでいる女性たちがいる。1995年にスタート、月1回の例会は第2日曜日に宮古島市働く女性の家・ゆいみなぁで。講師の仲里タケさんを中心に約20人が集う。「下手でよいから自分の言葉で詠みなさいと教えられた。個性の発揚と生活の浄化を目指しています」と仲里さん。
しきなみ短歌会は社団法人倫理研究所の傘下にあり、歌人でもあった創設者・丸山敏雄(1892-1951)が戦後すぐに設立したといわれ、全国に多くの支苑があり、約5500人の歌友がいる。今年は丸山敏雄生誕120年。短歌誌「しきなみ」は全国版の月刊誌で宮古の歌友たちの歌も紹介されている。
4月の短歌会は、春を詠おうと市熱帯植物園での吟行会となった。デイゴやインパチェンス、コスモスなどの咲き誇る自然を満喫しながら歌を作った。孫の優衣ちゃん(久松小2年)と参加した仲里さんは「一人一人に備わっている感性を発揮して、自分の言葉でこの大自然を詠んでほしい」とあいさつした。
チーフの天久千都勢さんは短歌を始めて6年「歌を作るということは、日常の中でいろんな気づきをさせてくれる。今まで見落としていたものを発見することができ、生活がずいぶんと変わった。観察力が身に付いた」と話す。宮古に住んで11年になる山上敏夫さん(埼玉県出身)は「言葉を駆使して作る楽しみがあり、生活に潤いが出てくる」と話し、日常の中に歌づくりを念頭に置く。
広庭の犬槙の若葉は瑞みずしく命萌え立つさ緑の垣
狩俣 淳子
あら草の中にダッチアイリスの紫の花鮮やかに咲く
野原 和代
咲き匂う桜の花に癒されて佇む吾の気分晴れやか
玉寄 幸代
満開の栴檀なみ木は春の日をあびて紫の小花が光る
野原 トヨ子
白々とゆりが咲く頃トライする鉄人らの熱き闘いが始まる
砂川 節子
卒業を祝う花束渡さんと列乱しつつ娘待ちわぶ
天久 千都勢
芽吹きだす草木の命は黄緑に光りつつ春を呼び込まんとす
川田 定子
庭園の花みだれ咲く春の日を友らと親しく吟行会す
仲里 タケ
春あさき昼の与那覇の干潟へとしらさぎ一羽まい降りて佇つ
山上 敏夫
夜勤あけにゆり白々と咲く野辺を家路へ向かう涼風をうけ
下地 能子