行雲流水
2012年5月7日(月)22:42
「友利玄一」(行雲流水)
宮古で生まれ育って、広い世界へ雄飛、現在、各界で活躍している多彩な人々を持つことは、この島の誇りである
▼友利玄一氏は「国費」で名古屋大学医学部に入学、卒業後は東京大学大学院に進み、大学院修了と共に医学博士号を取得した。その後、東京都立府中病院の副院長を務めるなど医療活動に従事すると共に、東大で学生の指導に当たった
▼専門は感染症で、ウイルス性慢性肝炎等の研究がある。NPO標準医療情報センターの提供する、B型肝炎、C型肝炎、肝硬変、肝臓がんについて、その標準的治療法の解説や、症状・検査について、また診療ガイドラインについての解説等の資料の監修は友利氏によるものである
▼友利氏は人の知る立志伝中の人である。彼は幼少の頃両親を病気で亡くしたこともあって、早くから医者になることを決意、猛勉強をして、見事にその目標を達成した
▼「人は白紙の状態で生まれる」と彼は語る。そこには執念を持って道をきり開いてきたことの自負と、世話になった人や制度(「国費」)に対する感謝の念が込められている。彼は後進のため多額の資金を人材育成財団に託している。彼の好きな言葉は「神は細部に宿る」である。自然との触れ合いや、本質に迫る研究の中で実感したことばであろう
▼東京の家ではゴーラの収穫を楽しみ、宮古の海の写真を飾っている。日帰りで那覇からサシバを見に来るロマンチストでもある。「半世紀前のことを、昨日今日のことのように話し合った」と、同期生たちとの再会を喜んだ。