行雲流水
2012年6月13日(水)22:47
「しあわせ観」(行雲流水)
「しあわせ」感ほどむつかしいテーマはない。古典文学作品の多くは、「しあわせ」をめぐる葛藤・克己の物語であるとも言える。今でも読み継がれているのは、正解のないテーマだからであろうか
▼「体験を糧としてたくましく成長する竜は、心の中にすんでいる生き物だ」と被災地の子供たちを励ましたブータン国王夫妻。そのブータン国は、GNP(国民総生産量)では世界の最貧国グループに属するが、GNH(国民総幸福量)では世界一しあわせな国だという
▼儒教は「貧しさを憂えず、等しからざるを憂う」と説き、発展途上国は「貧困と疾病からの解放」を掲げる。いずれも「しあわせ」実現を願う言葉だ。「しあわせ」追求の領域は広い
▼「君を絶対に幸せにしてみせる」-多くのドラマでみるプロポーズのセリフだ。だが、ある作家は「私自身は、浮気と金では君に心配をかけないと言った」と告白している。ロマン(夢)とリアリティー(現実性)、どちらに説得力があるのだろうか。状況次第あるいは人それぞれというのが正解に近いかもしれない
▼先人は「三界はただ心一つなり」と語っている(「方丈記」)。「足るを知る」心の目盛りがしあわせ感のバロメーター(晴雨計)かもしれない。ブータン国は、私利私欲に執着しない「共生の国」のようだ
▼しあわせが宿る環境づくりを問うハズだった県議選。宮古地区の民意は争いを避け、おだやかさを求めたようだ。だが、おだやかな形で託した「活気のある地域」づくりへの思いは強い。両県議が負託された課題は広くて深い。