行雲流水
2012年6月22日(金)22:57
「ムスカガー」(行雲流水)
「ムスカガー」の下り口の右手に説明板が設置されている。それには「盛加がー(洞井)」と表示され盛加には小さく「むいか」と振り仮名が付いている。宮古島の言葉の表記についての議論はさておいて、疑問に思ったのは説明の曖昧さと外国語の説明書きである
▼外国語の説明には戸惑ったが、外国人が来ることもありうると思えばそれでもよいかと思った。しかし、稲村説の引用はムスカガーの説明になっていないし、貝塚は人の営みを物語るものであるとはいえ、それ自体が井戸の歴史の解明につながるものでもなかろう
▼ムスカガーの歴史を知る手掛かりとなるものはない。そうであれば曖昧な説明より1953年4月まで人々の暮らしに欠くことのできない泉であったことを説明する方が歴史遺産として残される意義は大きいと考える
▼宮古島市教育委員会が編集し、平成年3月に発行した「宮古島市文化財要覧」がある。ひもといて「ああ」だ。ムスカガーの説明は現場のものと同じである。掲載された写真は実際にその場に立った者であってもムスカガーであることを識別できかねる代物だ
▼ムスカガーの所在を示す地図もなく、怪しげな文献をもとにした4カ国の説明はわずか年前まで生活の場であったことさえ顧みないずさんな編さんと言わざるを得ない
▼ムスカガーの由来を資料に求めるのは、無理だと思える。ムスカガーはそのものが史料であることを思えばそこに生きた人たちの聞き取りの記録(遅いかもしれない)を残すことで先行きの史料となるのではないか。