島の助産師が結束/県助産師会宮古地区委員会
病院と地域の連携めざす
離島やへき地における出産を取り巻く環境は、少子化に伴い産婦人科病院の閉鎖や医師不足などで厳しい状況にある。そんな中、先月19日、沖縄県助産師会の桑江喜代子会長らが宮古を訪れ、地区委員会が結成された。21人の助産師が参加して設立総会と交流会が開かれ会長に浜元勝枝さんが選ばれた。今後、会員を増やし、スキルアップを図りながら宮古病院や県助産師会とも連携して、きめ細かな子育て支援を推進していく方針。
きめ細かな子育て支援を
沖縄本島 来年1月「母子未来センター」開設
出生率全国一といわれる沖縄県で、年々産婦人科病院が閉鎖され、宮古地区においても、1軒の開業医院と県立宮古病院(総合)の産婦人科だけ。妊産婦にとっては安心して子どもが産める環境ではない。以前は、助産師の開業も多く地域で出産するケースが普通にあったが、病院が出来てからは施設入院が増え、現在98%の助産師が勤務の形を取る。助産師の開業は沖縄本島、宮古、八重山でもわずか。
助産師は女性だけの資格で、病院や保健所などで、妊産婦や新生児の助産行為、保健指導を行う専門家で開業権もある。県助産師会は1989(平成元)年設立された。宮古地区の助産師たちも入会していたものの、個々の活動で団体としての交流がなく、これまで実数の把握ができていなかった。
桑江会長は「宮古は、活動拠点がなかったために、力が発揮できなかったが、これからは、地域における助産師の役割がさらに強化される。最近は、乳幼児の虐待も増える中、きめ細かな子育て支援も重要な活動の一つ。来年1月には、沖縄市に母子保健や助産師の拠点施設『県助産師会母子未来センター』も開設する予定。研修の場や情報交換の場として活動が広がるものと期待している」と話す。
地域とのパイプづくりに/宮古病院看護師長 安座間和美さん
新館4階にある産婦人科には産科、ベビー科、婦人科がある。宮古での年間出生率は550~560人。その内、宮古病院は350~370人。異常分娩であったり、心的にリスクが高かったり、経済的不安を抱えていたりで、環境的に整っていないことが多い。そのためには、母親と寄り添いながらサポートしていくことが大事で、地域の助産師たちと連携する必要性を感じると安座間師長は話す。
うるま市出身でこの4月に宮古病院に赴任した。さまざまなリスクを抱えた妊婦が多いのでまず信頼関係から作ろうと始めたのが助産外来。「一人に約1時間、たっぷり時間を割いていろんな話しを聴く。母親たちの要望に添うような出産にするために、やはり地域との連携が必要と感じる」と話し、地区委員会の設立は病院にとっても大きな助けにつながるものと期待する。
市内の助産師の実数は不明。分かっていることは、40代後半が主で、20代から30代の助産師が極端に少ない。「やはり、地元出身の助産師が地域を担ってほしい」と話し、後継者育成も地域全体の課題として取り組んでいくことの必要性をにじませた。