行雲流水
2012年8月20日(月)22:38
「反格差」(行雲流水)
今日、格差社会の是正は世界各国の重要な課題である。その証拠に、昨年、米ニューヨークで始まった反格差デモはフランスやドイツなどの欧州諸国やアジアの諸国など80を超える国に広がった
▼このことに対してパン・ギムン国連事務総長は国際会議で次のように述べている。「彼らの声に耳を傾けなければ、今後数十年は不安定で排他的なものになり、われわれの平和や治安、繁栄の見通しは損なわれる」
▼このような状況の中で5月6日に行われたフランス大統領選挙で、「反格差」を訴えた社会党のオランド氏が現職のサルコジ大統領を破り、15日大統領に就任した
▼新大統領の政策には次のようなものがある。「富裕層や大企業への課税強化」。これに対して、サルコジ陣営は「フランスの競争力が奪われる」と反発した。「差別を解消する。同一労働同一賃金の原則を守らない企業は罰する」。いわゆる空洞化対策としては「国内で生産する企業に対しては公的な支援をする」と公約している
▼「銀行やヘッジファンドの『投機行為』を規制し実体経済を投機マネーから守る」。今年はアメリカが干ばつで不作であるが、穀物を買い占め値段を操作して利益を得るヘッジファンドの動きがすでに出ていると新聞は報じている
▼オランド氏が選挙戦で強調したことは「公正さ」、「平等」、「尊厳」だった。また、国連で採択された「世界人権宣言」の起草に携わったエセル氏が書いて、200万部も売れた著書『怒れ、憤れ』も彼を後押ししたと言われている。