行雲流水
2012年9月5日(水)22:36
「大学生の夏休み観光」(行雲流水)
長い夏休みが終わった。家族旅行や孫の来訪など、にぎやかなひと時を過ごした家庭も多かったのでは。9月は、観光業界も夏休み対応型から通常モードへ移行する時期だ
▼だが、まだ夏休みの余韻を楽しんでいる〝種族〟もいる。大学生たちだ。彼ら・彼女らにとっては、人影がまばらになった9月の海辺こそ魅力的だという
▼以前、渡嘉敷島へ旅行したときのこと。9月の下旬頃だった。真っ黒に日焼けした民宿のボーイが関西弁を使っていた。奇異に感じ、たずねてみると「海がすばらしいので離れられず、民宿のおかみさんに頼んで住み込みでタダ働きをしている。そろそろ大学も始まるのだが…」と思案顔。ケラマの海と出会って、人生観が変わったような話しぶりだった
▼おそらく彼は周囲の人たちに、青春譜の1ページを生涯語り継ぐことであろう。西表島を初めて訪れた都会人の中にも「人生観が変わった」と話す人は多い。アンケート調査結果などでみると、宮古の海や砂浜にもそんな魅力が秘められているのかもしれないと思ったりする
▼お金を落とさない学生たちだが、口コミによる宣伝効果が期待できる。大切にもてなすことによって観光誘客の輪が広がる。やがて新婚さんとして、あるいはにぎやかな家族旅行の率先者として、思い出の地を再訪してくれるであろう
▼長寿の秘訣として指摘される「心のゆとり」は、息の長い観光産業を構築していくためにも必要ではないだろうか。金融機関にも目前の利益だけでなく、長い目で見た対応を期待したい。