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行雲流水
2012年10月17日(水)23:33

「中華思想」(行雲流水)

 中国のトップが交代するという。こじれた日中関係は改善へと向かうのかどうか。中国の動きを「世界の常識」で読み解くことは難しいようだ


▼古来、中国には「中華思想」があるという。漢民族は政治的・文化的に優れた民族であるとする〝誇り〟だ。たしかに古代の中国は偉大だった。鉄器使用による農業生産力の飛躍的発展、孔子・孟子をはじめとする諸子百家の輩出、文字や度量衡の統一と郡県制の創設など先進的だった。そのため、周辺諸国を東夷・西戎・南蛮・北狄などと称して、見下す伝統が生じたのでしょう

▼19世紀以降の中華思想は、民族主義的な排外運動の原動力となった。大戦後は、共産党一党独裁制を支える〝内なる誇り〟となってしぶとく継承された。中国は今なお、中華思想を克服できずに、国際社会の常識を素直に受け入れようとはしないようだ

▼日本政府の尖閣国有化は、同島周辺の平穏を担保するためだった。しかし中国は、このことを理解しようとしないし、逆に、争奪を意図しているようにさえ見える

▼もしかしたら、中国資本(日本人名義)で島を購入する工作が進行中だったのか。あるいは石原都知事に熱い戦いをいどみ、国内体制を引き締めるつもりだったのか。疑心暗鬼を払拭し、真意を知るためには、中国の深層心理をつかさどる「中華思想」をひもとく必要がありそうだ

▼中国は「覇権を求めず」と盛んに言う。が、現実の行動には〝中華思想〟の臭いがする。〝近代国家〟中国の新指導者には真の自重自愛を望みたいものだ。

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