行雲流水
2012年10月24日(水)23:25
「沖縄問題」(行雲流水)
今に始まったことではないがわが国の権力機構にとって「沖縄問題」は日本全土のわずか0・6%の狭隘な地域の出来事。すなわち全国都道府県の中の一地方県の特異な問題と映っているのだろうか
▼8月那覇市で起きた米海兵隊員による県女性への強制わいせつ事件。今月10月本島中部で起きた米海軍兵士による集団女性暴行致傷事件。女性の尊厳を踏みにじる凶悪事件を野田政権の防衛大臣や外務副大臣は「事故」と表現
▼防衛大臣にいたっては事件に対し「正気の沙汰ではない」と強く抗議した沖縄県知事に対し「米兵の多くは真面目な人」と一般論で米兵の肩をもち「たまたま(県外から)出張してきた米兵が起こした」と言い訳とも取れる言葉を口にしている
▼沖縄で起きる米兵絡みの事件についてわが国政権の対応は英国の経済誌エコノミストに「東京の政治家はリップサービスで(事件に)懸念を表明しているが金(振興策)で解決できると思っているようだ」と皮肉られる程度であると言っても過言ではあるまい
▼本土復帰(1972年)から昨年までに起きた米兵犯罪検挙数は5747件。女性暴行事件は復帰後だけでも127件も起きている。しかし事件が全国につまびらかに伝わることはほとんどないという
▼在京大手メディアの多くが沖縄問題となると米軍抑止力を先行させ「権力の不正を知って書かないことは不正に手を貸すことと同じ」(高知新聞)の問題意識をもって沖縄に過度に依存した安全保障の不条理を突く報道を続けていないからだと指摘されている。