行雲流水
2012年11月5日(月)23:56
「2012読書週間」(行雲流水)
実りの秋、読書の秋。読書推進運動協議会が選定した今年の読書週間の標語は「ホントノキズナ」である。この標語の作者は述べている。「他界した父の持ち物を整理していると、書斎から懐かしい本がたくさん出てきた。改めて本を通して父との『絆』を再確認できた。本っていいものですよね」
▼次点の標語は「昨日宮澤賢治と会った。明日は誰と会おう」である。確かに、人は読書で古今東西の優れた人々と対話することができる。以前にはこんな標語もあった。「思わぬ出会いがありました」
▼今日、人はテレビなどの電子メディアによる渦巻く情報の中で生活している。この電子メディアの情報は言葉も画面も断片的・刹那的なものが多く、自分で選択して、自分なりの受け止めかたで、じっくり味わったりする活字メディアとは異なる。そのため、子どもたちの感性や言語による思考力の発達を阻害する側面が大きいことが指摘されている
▼一方で、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かにし、人生をより深く生きる力を身につけていく上で、読書は欠かすことができない
▼その重要性に鑑み平成13年に「子どもの読書活動の推進に関する法律」が制定され、すべての子どもがあらゆる機会とあらゆる場所で自主的に読書活動ができるよう、積極的に環境整備が推進されなければならないと規定した(第2条・基本理念)
▼読書週間に当たり、読書の重要さを改めて確認したい。「はじまりは一冊の本だった」(2000年の標語)。